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四聖獣ロボサイドストーリーVol.2 『覚醒、セイロン』 | 2010-06-16 22:17:49 |
暗黒小惑星シャーオックにて。 悪魔軍は動揺していた。レーダーが捕らえた敵は一機のみである、いや、正確には他の新生・天使軍は撃退できても、この一機だけは永遠と惑星の表層部に居座り、基地を蹂躙し続けているのである。表層部とはいえ、半端な新生・天使軍が闊歩することは許されないほどの戦力は備えているはずであるが・・・ 正体不明のロボがとる行動は単純であり、それゆえに強力であった。彼は鮮やかな青い装甲で、暗がりの空に解けるように戦う。悪魔軍ロボが出撃したその瞬間にあろうことか背後に現れ、転身する前に攻撃を終え、こちらが攻撃に移る前にホームポジションへ飛び去る。 拠点シャーオックの防衛を任されている冷静沈着な悪魔軍の精鋭たちも、敵のあざ笑うかのような攻撃により苛立ちを募らせ始める。同胞たちがやられることには何の感慨も沸かないが、自分らの力を唯一誇示できる戦いの中でいいように扱われるのは辛抱いかなかった。それでも、幾多の弾丸もミサイルも、縦横無尽に飛び回るロボの急制動によって無意味に弧を描くばかりなのである。 だがしかし、彼ら悪魔軍の背後、基地陣営の深くではこの正体不明のロボに因縁のある、とあるロボによる捕獲指示が発せられていた・・・ 悪魔軍を翻弄するロボ、彼は長い間仲間を作ることなく星々を旅し、悪魔軍を掃討してきた、それは自らの名前をその心にとどめ損ねるほどである。旅を始めたころはきっかけもあった気がするのだが、それは遠い昔の理由であって今はて覚えていない、強いて言えば少し気になる程度だ。悪魔軍を葬る、それだけが今の自分に課す唯一つの目的のない仕事だった。 しかし、まるで手ごたえが無い。もう随分と惑星を徘徊しているが、手ごたえのある悪魔軍ロボに遭遇しないのである。無論、圧倒的に敵を倒すわけではない、体に染み付いたヒットアンドアウェイを繰り返し、徐々に消耗させ、倒す。悪魔軍の拠点たる暗黒小惑星シャーオックに来れば、自分の定法を打ち破るような強敵に合間見えると思っていたが、それも徒労だったか、と彼は諦めとも、達観とも付かない感情をいだくのだった。 ところがそんな緩慢な状況はいつかの時点からようやく動き出す。何を得ることもない戦い、リスクの無い戦いに、見切りをつけかけていたが、ある瞬間から悪魔軍の動きが変わり始めたことに気づいたのだ。 烏合の衆だった悪魔軍ロボに統率が取られ始め、悪魔軍ロボの軍勢に明らかな粗密が現れ始める。初めのうちは偶然と考えていたが、まるで、基地の深部へ誘うように現れるその隙間はある種の妖艶ささえ感じさせた。 普段ならば、このような露骨な誘いには乗らなかったろう、だが、長い旅に終止符を打ちたかったのか、はたまた単なる破滅願望なのか、彼は徐々にホームポジションをその隙間へ滑り込ませていき、その流れは止められないものとなっていく。 やがて足場は低地へ移動し、ある瞬間、ついに自らの失敗を悟る。彼が誘い出されたのは隠れる場所の無い開けたくぼ地であった。高い壁に囲まれ登ることかなわず、唯一の出口も既に夥しい量の悪魔軍によってふさがれている。 決定打を持たない者にとって、遮蔽物が無いくぼ地は死地に近い意味を持つ。エネルギーの充填を安全に待てる場所が無ければ、いくらスタミナがあろうとも永遠と出現し続ける悪魔軍ロボとの戦いを耐え抜くことは出来ない。一方、温存を行えば被弾が嵩み更に苦しくなるだろう。 打開策が必要だ。埒の明かない空戦に徐々にENを削られ、焦りが募る。 しかし、彼は逡巡から油断した。おそらく、くぼ地の縁、崖の上から飛び出してきたのだろう、天高くから振ってきた巨大な悪魔軍ロボの大槌にその身をさらしてしまったのである。叩き落される形となった彼は悪魔軍ロボの大群に囲まれる。彼は足を止めずにいられなかった。この時ブースターを噴かそうものなら向けられた銃口は躊躇無く火を噴くだろう。 過去にもこのようなことがあった気がする・・・そんな、この際どうでもいい記憶の断片が掠めた時・・・ 突如、白いロボが降り立ち、迫りくる悪魔軍ロボを撃退し始める。不意を付かれた悪魔軍ロボたちの隙を青いロボも見逃さない、すぐにその闖入者と共闘する。地を駆け回るロボと空を飛び回るロボの二機の連携は悪魔軍を再び押し戻さんとする巧みさがあり、往年の呼吸を感じさせる。 局面の悪化を見るや悪魔軍も大量に援軍を召喚し、くぼ地はロボの海と化した。 そして、白いロボは言い放つのである。 『AURAを開放せよ!セイロン!』 セイロンと呼ばれた青いロボは、古く忘れ去った回路にほとばしる強力なシグナルを感じた。 ロボがうごめくくぼ地に二つの光が現れた時、電流を帯びた突風が吹き荒れ悪魔軍ロボの装甲を軋ませる。最早、悪魔軍ロボは逃げおおせることもかなわない。その暴力的な嵐の奔流は幾多もの悪魔軍ロボを痺れさせ動きを封じ、更には吹き荒れる嵐の中で衝撃波が悪魔軍ロボを襲う。状況はまさに阿鼻叫喚の坩堝と呼ぶに相応しいものだった。 悪魔軍ロボの大軍勢は二機のオーラを纏ったロボによって姿を消した。くぼ地の中心に立ち尽くすのは、鋭い爪を持った白い虎、片や低くその喉をうならせる、『セイロン』と呼ばれた青い龍である。 激しい戦いが終わっても二機に会話はない。しかし、シャーオックを強襲し続けていたセイロンの瞳には、それまでとは違う確かな意思の光があった。 ![]() セイロンは戦の嵐が収まった暗黒小惑星シャーオックの一角から更に深部へと飛び去る、そのボディに復讐の炎を抱えて。 To Be Continued・・・ Vol.1 『ビャッコウ大地を駆ける』 ※四聖獣ロボサイドストーリーは外伝のストーリーとなります。 >> 一覧に戻る |