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四聖獣ロボサイドストーリーVol.1 『ビャッコウ大地を駆ける』 2010-05-19 20:27:15
 惑星ポイーンのとある地域、新生・天使軍は孤軍奮闘の状態にあった。入り組んだ地形に囲まれたこの地域では、長く新生・天使軍が優勢を保っていたが、つい数ヶ月前から戦況が悪化し始め、地域一帯から撤退を余儀なくされる状況へと追い込まれてしまった。また、唯一開けた区域を持つ密林地帯では多数の悪魔軍ロボの姿が確認されており、出撃するも負傷して前線を離脱するロボが後を絶たなかった。
 
 前線の天使軍が一進一退の攻防を続ける中、悪魔軍陣営深部から帰還した偵察兵が、近く密林地帯への大侵攻が始まるという情報を持ち帰る。前線の司令官は絶望に打ちひしがれた。無論その理由は、既にこの地域の新生・天使軍には余力は残されておらず、前線を維持することはおろか、最悪前線勢力全滅の恐れさえあったからである。
 果たして悪魔軍の密林地帯大侵攻は開始される。勇気を奮い立たせ果敢に戦う兵士たちであったが、大型の悪魔軍が振るう武器の前になす術も無かった。高速で飛行し翻弄する悪魔軍ロボ、巨大な鉄槌で一瞬にして多くの新生・天使軍ロボを破壊する悪魔軍ロボ。残存の勢力では悪魔軍の行軍を食い止めることが不可能なのは火を見るよりも明らかだった。
 その時・・・悪魔軍の勝利が明白となっていた戦場の中心に、一体の新生・天使軍ロボが降り立つ。そのフォルムはしなやかでありながら、どこか強靭さを思わせる肉食獣さながらの力強さをも感じさせた。
 白いロボの猛攻が始まる。密林の茂みから茂みへと身を隠し、扱いの難しいウェポンを巧みに操るその俊敏さに、遅鈍な巨大悪魔軍ロボは手も足も出ない。次々と悪魔軍を行動不能にせしめるその光景を、新生・天使軍のロボたちは呆気にとられながら見守ることしか出来なかった。
 
 悪魔軍のロボたちは状況が敗色へ変貌したことにようやく気づく。その頃には侵攻が開始された頃の軍勢はほぼ壊滅され、もはや見る影もなかった。しかし、悪魔軍が行軍をとめる事は無かった。この前線の悪魔軍のロボたちはおろか、指揮を執っている悪魔軍の前線指揮官さえその理由を知らされていなかったが、彼らは固く退却を禁じられていたのである。
 白いロボの活躍により悪魔軍の敗色が色濃くなるころ、前線の天使軍たちがようやく反撃ののろしを上げる。新生・天使軍のロボたちがわずかに残されたエネルギー振り絞り、再度前線を押し上げるべく立ち上がったのである。
 
 戦線は両軍の金属装甲が爆ぜる音を再びかなで出す。この地域の戦闘を締めくくる、最後の輝きである。
 このとき、悪魔軍の後方がざわめき立つ。悪魔軍ロボの一個大隊が無慈悲に姿をあらわしたのである。
 前線の兵士たちにとってこれほど衝撃的で絶望的なことは無かった。おのずと構えていた自分たちのウェポンを下ろしてしまう者さえいた。
 
 呆然とする一機の新生・天使軍ロボに巨大悪魔軍ロボの鉄槌が迫る。周りの天使軍ロボたちがそれに気づくも、当の彼がどうあがいても避けられないことは明確であった。
 
 
 巨大な鉄槌が下る瞬間、眩い光が辺り一体を包む。
 
 
 何事か、と新生・天使軍の兵士達が恐る恐るメインカメラで様子を伺うと、そこには破壊され閃光を放ちながら崩れゆく巨大悪魔軍ロボと、それ以上に輝き、AURA機構を発動した白いロボが存在していた。
 AURA機構独特の光を纏う白いロボはAMとLGにかぎ爪を備えており、HDも虎さながらの形へと変貌していた。
 

 そして、AURA機構が発動した後は、比喩することもなく、一瞬だった。
 
 地を蹴り動き出した白いロボは、目にもとまらぬ速さで悪魔軍のロボたちに肉薄し、圧倒的な火力をもって一掃する。その俊足は地を駆ける四神の白虎を髣髴とさせ、その爪から打ち出す衝撃をかわすことが出来る悪魔軍ロボは存在しなかった。
 AURA機構が収束する頃には、前線に存在する悪魔群ロボたちは全て行動不能となり、新生・天使軍からは勝ち鬨が上がっていた。  白いオーラロボの活躍によって悪魔軍ロボの大群は完全に掃討されてしまったのである。
 新生・天使軍のロボたちは前線での勝利に歓喜し、新たな仲間へ感謝の意を述べた。白いロボも仲間への短い祝いの言葉を述べると、すぐに他の戦線へ移ることを告げ、その場を後にした。
 
 前線の天使軍たちは別れを惜しんだが、彼は振り返らず、次の戦場へと再び赴くのである。
 
 
 そのAURA機構をもって前線を勝利へと導いた白いロボの名は『ビャッコウ』と言った。
 
 
 
To Be Continued・・・

 
 
※四聖獣ロボサイドストーリーは外伝のストーリーとなります。

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